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更新日:2024年7月1日
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長編映画「郷」が、今年の上海国際映画祭アジア新人部門で最優秀作品賞と最優秀監督賞にノミネートされた、本市出身の映画監督 伊地知拓郎さんにお話を伺いました。
子どもの頃、家族と一緒に、父がレンタルショップから借りてきた世界中の映画や音楽を鑑賞する習慣があり、芸術に興味を持っていました。また、映画を通して見ていた世界の風景・文化を自分の目で見てみたいと思うようになったことや、高校時代に大好きな野球を辞めた経験から、自分の居場所や好きなことを鹿児島や日本を出て見つけたいと考えるようになり、父の故郷でもある中国の大学に進学しました。
映画監督として生きていこうと決めたのは、実はここ3~4年の間です。今回の「郷」という作品を撮影していく中で少しずつ、映画を撮ることが自分にできることではないかと思うようになりました。
中国以外にもイタリア、オーストラリア、シンガポール、内モンゴルなどに行き、まったく違う環境・言語・文化・宗教の人たちと関わることで、海外の良いところ悪いところを体感すると同時に、日本や鹿児島の良いところ悪いところを初めて客観的に見ることができました。特に、家族から送ってもらった鹿児島の桜島や自然の風景の写真を海外の人に見せると、みんな驚いて感動する様子を見て、小さい頃から桜島をはじめとする自然や多様な生物とともに生活していることに気づかされ、自分の故郷は恵まれているんだと実感しました。
そんな鹿児島の良さを海外の人に知ってもらいたい、鹿児島の人にはその素晴らしい自然や文化に気づいてもらいたい、味わってもらいたいと思っています。
大学入学前からこの映画の構想はあり、場所もふるさと鹿児島で撮影しようと考えていました。できるだけ自然のまま撮影するため、照明はほとんど使わず、海の場面では潮の満ち引きなども考えながら撮影しました。四季を追うため、撮影は1年間かけて行い、編集にも2年かかりました。初めは卒業制作のための映画の予定でしたが、プロデューサーの小川夏果さんのおかげで、様々なご縁が繋がり、長編映画として描くことができました。
この映画は、鹿児島で生まれ育った2人の少年が、さまざまな困難の中で人生の不条理や命の尊さに気づいていく物語です。太陽の光を浴びたり、風を感じたり、家族や友人との時間を過ごしたり、ご飯を食べたり、勉強したり、悩んだり…この映画を通して、今生きている一瞬一瞬をいとおしい、貴重なものだと気づき、当たり前の日常を大切にしていってほしいと思っています。
映画を制作するときは、「自分も含め世の中の人たちが、精神的に豊かに成長できる作品を作りたい」と考えています。今後はいろいろな国で映画を作り、その国の好きな場所や文化を大切にしていきたいですし、鹿児島のことも大好きですので、映画を通して鹿児島の魅力や良さを海外に伝えるお手伝いができればと思います。
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