更新日:2023年12月18日
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ポリ塩化ビフェニル(PCB)廃棄物の適正な処理について
高濃度PCB廃棄物については処理期限を過ぎたため、JESCOで新規の登録及び受入れを行っていません。今後国から処理方針が示されるまで適正な保管をお願いいたします。
ポリ塩化ビフェニル(PCB)は、絶縁性、不燃性などの特性により、トランス(変圧器)、コンデンサ(蓄電器)といった電気機器をはじめ幅広い用途に使用されていましたが、昭和43年にはカネミ油症事件が発生するなど、その毒性が社会問題化し、我が国では、昭和47年以降その製造が行われておりません。
一方、すでに製造されたPCBを処分するため、民間主導によるPCB処理施設設置の動きが幾度かありましたが、施設の設置に関し住民の理解が得られなかったことなどから、ほぼ30年の長期にわたりほとんど処理を行われず、結果として保管が続いている状況にあります。しかしながら、保管が長期にわたっているため、紛失したり、行方不明になったトランスなどもあることが判明し、PCBによる環境汚染が懸念されています。
世界的にも、一部のPCB使用地域から、全く使用していない(北極圏など)への汚染の拡大が報告されたことなどを背景として、国際的な取り組みがはじまっており、欧米諸国では、すでにPCB廃棄物の処理体制は相当進んでいることから、我が国においてもPCB廃棄物を処理するための体制を速やかに整備し、確実かつ適正な処理を推進することが急務となっていました。このような状況から、我が国のPCB廃棄物の確実かつ適正な処理を推進するため、平成13年6月22日に「ポリ塩化ビフェニル廃棄物の適正な処理の推進に関する特別措置法」(以下「PCB特措法」という。)が公布され、同年7月15日から施行されました。
これに伴い、PCB廃棄物を所有する事業者等には、保管状況等を届出しなければならないほか、一定期間内に適正に処分することが義務付けられています。そこで国は、中間貯蔵・環境安全事業株式会社(元:環境事業団)により拠点的な処理施設を整備させ、処理業務にあたらせる仕組みを設けております。
国内では、昭和47年までに54,001tのPCBが使用されており、主な用途では、電気機器用の絶縁油、各種工業における加熱並びに冷却用の熱媒体及び感圧複写紙など、様々な用途に利用されていました。現在は、新たな製造が禁止されています。
PCBを含む代表的な機器に高圧トランス、高圧コンデンサ及び安定器があります。トランスとは、ある交流の電圧をそれより高いか、又は低い電圧に変える装置であり、コンデンサ(蓄電器)とは、電気を一時的に蓄える、電圧を調整する、位相を変化させる、といった効果を持つ装置です。
トランス内は、PCB油とトリクロロベンゼンの混合油(重量比3対2)で満たされています。
例えば、50KVAの場合で約115kgのPCBが入っています。
高圧トランス
コンデンサ内は、PCB油で満たされています。
例えば、100KVAの場合で約35kgのPCBが入っています。
高圧コンデンサ
蛍光灯の安定器の中にも、低圧コンデンサが使われています。コンデンサ内の巻紙の隙間にPCB油が含浸されています。昭和47年8月以前に製造された業務用・施設用蛍光灯器具の安定器では、数十g程度のPCBが入っているものもあります。
安定器
(注)それぞれの機器にPCBが含まれているかどうかは、銘板に載っている型式や製造年月をもとに各メーカーに問い合わせてください。
(注)上記の電気機器のほか、PCBを含む電気機器には、低圧トランス、低圧コンデンサ、その他機器(リアクトル、サージアブソーバー、計器用変成器)等があり、これらも届出の対象となっています。
水に極めて溶けにくく、沸点が高いなどの物理的な性質を有する主に油状の物質です。また、熱で分解しにくい、不燃性、電気絶縁性が高いなど、化学的にも安定な性質を有することから、電気機器の絶縁油、熱交換器の熱媒体、ノンカーボン紙など様々な用途で利用されてきましたが、現在は製造・輸入ともに禁止されています。
脂肪に溶けやすいという性質から、慢性的な摂取により体内に徐々に蓄積し、様々な症状を引き起こすことが報告されています。PCBが大きくとりあげられる契機となった事件として、カネミ油症事件があります。この事件は、米ぬか油(ライスオイル)中に、脱臭工程の熱媒体として用いられていたPCB等が混入したことが原因で、昭和43年10月、西日本を中心に広域にわたって、米ぬか油による食中毒が発生しました。当時の患者数は、約1万3千名に上ったと言われています。一般にPCBによる中毒症状として、目やに、爪や口腔粘膜の色素沈着などから始まり、ついで、座瘡様皮疹(塩素ニキビ)、爪の変形、まぶたや関節のはれなどが報告されています。
PCB廃棄物の適正な処理を推進するため、国は処理施設の整備の方針や処理体制の整備の方向等について基本計画を定めています。
現在、地元地方公共団体との調整結果を踏まえ、次の表に掲げるとおり、「中間貯蔵・環境安全事業株式会社」を活用した拠点的広域処理施設の整備を推進することとしております。
届出に基づく、鹿児島市内のPCB廃棄物の種類別保管量及び使用量は、下記ファイルのとおりです。
鹿児島県では、「PCB特措法」第7条に基づき、『鹿児島県ポリ塩化ビフェニル廃棄物処理計画』を策定しました。
この計画は、鹿児島市を含む県内のポリ塩化ビフェニル廃棄物について、具体的な処理方策を明らかにし、確実かつ適正な処理の推進を図ることを目的に策定したものです。
内容につきましては、下記PDFファイルをご覧ください。
PCB廃棄物の収集運搬業者は、(1)密閉できることなどPCBの漏洩防止措置を講じた運搬容器を有すること、(2)運搬車等には応急措置設備、緊急時の連絡設備等が備え付けられていること、(3)業務に直接従事する者(運転者等)がPCBの性状、事故等の応急措置等の知識及び技能を有すること、などの許可基準を満たす必要があります。
また、PCB廃棄物保管事業者が、自ら運搬を行う場合であっても、PCBの漏洩防止措置を講じた運搬容器に収納して運搬することが必要です。
その他、PCB廃棄物の収集運搬が広域、かつ一定期間行われることとなることから、環境省は、「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」(以下「廃棄物処理法」という。)に基づく収集運搬に係る基準を遵守するために必要となる技術的な事項について明確化した「PCB廃棄物収集・運搬ガイドライン」を平成16年3月(平成23年8月改訂)に定めました。
(注)「PCB廃棄物収集・運搬ガイドライン」の詳細については、環境省ホームページ(外部サイトへリンク)でご覧いただけます。
〔環境省ホームページ→廃棄物・リサイクル対策→廃棄物処理の現状→ポリ塩化ビフェニル(PCB)廃棄物〕
PCB廃棄物等を保管している事業者は、毎年度(6月30日まで)、そのPCB廃棄物等の保管及び処分の状況等に関して都道府県知事(鹿児島市内に保管している場合は、鹿児島市長)に届け出なければなりません。また、全てのPCB廃棄物の処分を終了した場合や、全ての高濃度PCB使用廃棄物の廃棄を終了した場合は、終了した日から20日以内に終了の届け出を行う必要があります。
なお、都道府県知事(鹿児島市内の場合は、鹿児島市長)は、毎年度、事業者から提出された上記保管等の届出書について、PCB廃棄物の保管及び処分状況を一般に公表することとなっています。
(注)届出を行わなかった者、また虚偽の届出をした者は6月以下の懲役又は50万円以下の罰金に処せられます。
PCB廃棄物は次の期間内に処分しなければなりません。
高濃度PCB廃棄物の処分期間:変圧器・コンデンサーは平成30年3月31日まで、安定器及び汚染物等は令和3年3月31日まで
低濃度PCB廃棄物の処分期間:令和9年3月31日まで
なお、環境大臣又は都道府県知事(鹿児島市内に保管している場合は、鹿児島市長)は、上記期間内の処分に違反した場合は、保管事業者に対し、期限を定めて、PCB廃棄物の処分その他必要な措置を構ずべきことを命ずることができます。
(注)この改善命令に違反すると、3年以下の懲役若しくは1,000万円以下の罰金に処し、またはこれを併科されます。
何人も、PCB廃棄物の確実かつ適正な処理に支障を及ぼすおそれがないものとして環境省令で定める場合のほか、PCB廃棄物を譲り渡し、又は譲り受けてはならないこととされています。
(注)この義務に違反すると、3年以下の懲役若しくは1,000万円以下の罰金に処し、またはこれを伴科されます。
保管事業者について、相続、合併又は分割があったときは、相続人、合併後存続する法人若しくは合併により設立した法人又は分割によりその事業の全部若しくは一部を承継した法人は、その事業者の地位を承継するものとされています。
保管事業者の地位を承継した者は、その承継のあった日から30日以内に、その旨を都道府県知事(鹿児島市内の場合は、鹿児島市長)に届け出ることになっています。
(注)届出を行わなかった者、また虚偽の届出をした者は30万円以下の罰金に処せられます。
PCB廃棄物の処理に関する業務を適正に行わせるために、事業場ごとに廃棄物処理法に基づく「特別管理産業廃棄物管理責任者」を置かなければなりません。
なお、特別管理産業廃棄物管理責任者は、一定の実務経験を有するなどの資格が必要となります。実務経験等がない場合は、公益財団法人日本産業廃棄物処理振興センターが主催する「特別管理産業廃棄物管理責任者に関する講習会」を受講する必要があります。
(注)この義務に違反すると、30万円以下の罰金に処せられます。
〈公益財団法人日本産業廃棄物処理振興センターのお問い合わせ先〉
〒102-0084東京都千代田区二番町3番地麹町スクエア7階
電話:03-5275-7111
FAX:03-5275-7112
高濃度PCB廃棄物については、JESCOで処理しています。JESCOに処理委託を行う場合、あらかじめJESCOに登録を行う必要があります。詳しくは、JESCOのホームページ(外部サイトへリンク)をご覧ください。
高濃度PCB廃棄物については処理期限を過ぎたため、JESCOで新規の登録及び受入れを行っていません。今後国から処理方針が示されるまで適正な保管をお願いいたします。
高濃度PCB廃棄物を中小企業者等が処分する場合、その料金が軽減される措置があります。詳しくはJESCO中小軽減担当(0120-808-534)にお問い合わせ下さい。
低濃度PCB廃棄物の処理はJESCOではなく、民間の処理事業者により行われています。低濃度PCB廃棄物の処理業者は、環境大臣が認定する無害化処理認定事業者と都道府県市の長からPCB廃棄物に係る特別管理産業廃棄物の処分業許可を得た事業者があります。処理事業者の連絡先等は環境省のホームページ(外部サイトへリンク)〔環境省ホームページ→廃棄物・リサイクル対策→廃棄物処理の現状→ポリ塩化ビフェニル(PCB)廃棄物→廃棄物処理法に基づく無害化処理認定施設〕)で紹介されています。
A:定めれられた処分期間内に処分を行わなければなりません。また、処分を行うまでの間、廃棄物処理法に定める特別管理産業廃棄物の保管基準に従い、廃PCB等が漏洩しないよう適正な保管施設において、適切に保管を行うほか、毎年、保管状況等について事業所所在地の都道府県知事(鹿児島市内に事業所がある場合は、鹿児島市長)への届出が必要です。
(注)変圧器(トランス)などの重電機器中の絶縁油(PCBを絶縁油として使用していないもの)から微量のPCBが検出された事例が見つかっています。変圧器等の重電機器の使用を終え、廃棄しようとする場合には、重電機器メーカーに、PCB混入の可能性の有無について確認してください。
A:毎年6月30日が届出期限です。
A:昭和32年1月から昭和47年8月までに製造された業務用・施設用の蛍光灯器具のラピッドスタート式高力率のもの、水銀灯器具の別置安定器及び低圧ナトリウム灯器具(トンネル用)には、PCBを含むコンデンサが使用されている可能性があります。ただし、一般家庭で使用されている蛍光灯には、PCBは使用されていません。詳しくは、その照明器具のメーカーまたは財団法人九州電気保安協会などにお問い合わせください。
PCB安定器(コンデンサ)を使用した照明器具等のお問い合わせ先
一般社団法人日本照明工業会
東京都台東区台東四丁目11-4三井住友銀行御徒町ビル8F
電話:03-6803-0501
ホームページ:http://www.jlma.or.jp/(外部サイトへリンク)
A:PCBは1,100℃以上の高温(焼却)で熱分解し、無害となります。また、高温焼却のほか、焼却とは異なる7つの方法(脱塩素化分解、水熱酸化分解、還元熱化学分解、熱分解、プラズマ分解、機械化学分解、溶融分解)が処理技術として認められていますが、それ以外にも有効性と安全性が認められれば、PCBの処理技術として新たに追加されることとなります。なお、鹿児島市を含む鹿児島県内に保管するPCB廃棄物については、北九州市にある処理施設において処理されることとなります。
A:廃棄物処理法やPCB特措法では、事業者の責務として、その事業活動に伴って生じた廃棄物を自らの責任において適正に処理しなければならないこと、処理するまでの間、適正に保管することなどが定められています。したがって、PCBを含む電気機器や感圧複写紙等を使用してきた事業者自身が、不用となったこれらの機器の保管や処理に責任を有します。
A:PCB廃棄物の保管、処理責任は事業者にあります。その上で、国や都道府県等は、処理計画の策定や処理に必要な措置を講じる責務などを負うこととなります。
A:高濃度PCB廃棄物については、原則保管場所を変更してはなりません。ただし、高濃度PCB廃棄物の種類に応じて決められた同一の区域内で保管場所を変更する場合、または、当該高濃度PCB廃棄物を確実かつ適正に保管することができる場所に保管場所を変更することについて環境大臣の確認を受けた場合は変更することが特例で認められることがあります。
A:保管を委託した者及び委託を受けた者双方ともに譲渡し及び譲受けの制限義務に違反し、罰則の対象となりますので、絶対に行ってはなりません。
A:PCB廃棄物の収集・運搬を行う場合には、運搬容器に収容して行うことが必要です。運搬容器は、PCB廃棄物が飛散し、流出し及び揮発しないよう密閉できるものとするか、PCB廃棄物の漏洩を防止するために必要な措置(PCB廃棄物の性状に応じた吸収材の使用等)が講じられているものでなければなりません。
A:PCB廃棄物の譲渡し、譲受けは原則禁止ですが、やむを得ない場合として、破産や特別精算を行うことが株式総会で決議されるなど、会社の存続が認められないことが客観的に明らかな場合、PCB廃棄物を確実かつ適正に処理する十分な意志と能力を有する者として都道府県知事(鹿児島市内に事業所がある場合は、鹿児島市長)が認めた者(例えば、親会社等)に譲り渡すことは可能です。
A:近年、PCBを使用していないとされていたトランス等重電機器の一部から微量のPCBに汚染された絶縁油の存在が明らかになりました。このため、重電機器のメーカーと型式による判別だけではPCB混入の有無を判断することができず、廃棄する際には、封入されている絶縁油の分析を行いPCB混入の有無を確認していただく必要があります。
なお、微量PCB汚染廃電気機器等については、低濃度PCB廃棄物として適正に処理する必要があります。
また、変圧器等の重電機器を所有している方は、以下のとおり取り扱ってください。
近年でもPCBが使用された蛍光灯安定器の事故(破裂、液漏れ等)が発生しています。
過去に調査を行ってPCBが使用された安定器がないことを確認した施設でも発生していることから、確認していない施設はもちろんのこと、過去に確認した施設においても再度確認をするなど、PCBの使用された電気機器の発見に努めてください。また、PCBの使用された電気機器の使用を把握している場合や新たに発見した場合は、速やかに交換、処分を行うなど対応を行ってください。
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