鹿児島を代表する火山・桜島は多くの作家たちが題材にとりあげてきました。当美術館では「桜島コレクション」として桜島や郷土の風景を取り上げた作品を収蔵しています。
絹本着彩・三幅対、各100.0×33.0cm
噴煙が薄くたなびく桜島を中心にして、右幅には上方に開聞岳を望む天保山風景、左幅には霧島連山を遠景に磯周辺を描いた明治後期の実景図である。明治期に活躍した鹿児島市出身の暁帆は狩野派に学んだ絵師であるが、本図には遠近表現などに西洋写実画法からの影響を見ることができ、縦長の画面を活かして広大な風景が巧みに表現されている。
紙本着彩、162.0×215.0cm
金箔・金泥の空と海をまとった黒い山が炎を上げている。京都出身の日本画家で若い頃よく山登りをした作者は「火山のあの男性的なところに何ともいえない魅力を感じます」と語り、本作にも顔料の岩黒と金泥を幾重にも重ねた山肌と噴炎の朱に大自然の原初的で根源的な力への執着が感じられる。西山は学生の頃より桜島に魅せられ、以来50年、ライフワークとして描き続けた。
油彩・キャンバス、91.0×60.5cm
シベリア抑留体験をテーマとした「シベリア・シリーズ」で知られる山口県出身の香月は、1972年、夫人と末子を同伴したドライブ旅行で南九州を訪れた。この時に見た桜島の印象を、香月は本作を含め三点の油彩画に表現している。桜島をモチーフに、質感のある絵肌とモノクロームの色調という独自の手法で彼の絵画観が表現されている。
油彩・キャンバス、47.0×32.0cm
黒田清輝に学んだ山下は、桜島の大正噴火時、黒田に随行して自らも連作による爆発図の大作や絵巻物を残している。本作品は記憶と写真などの資料をもとに、立ちのぼる噴煙、風に流され形を崩す火山灰、明暗や色調が変化する光の様子などを克明に描き、描写力の高さを示している。爆発直後の様子を伝える記録画としても価値の高い作品である。
最終更新日:2020年5月31日
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