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更新日:2015年3月20日
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日時:平成22年2月16日(火曜日)13時13分~14時4分
場所:鹿児島市役所本館2階特別会議室
市長 今日の記者発表は、平成22年度の予算案がまとまりましたので、その概要について、皆様方にご説明します。
私は、市長就任以来、一貫して住民自治の原則に立ちまして、市民との対話、パートナーシップを大切にした、市民一人ひとりがまちづくりの主役として活躍ができる「市民が主役の鹿児島市の実現」を基本理念に、本市の限りない発展と市民福祉の向上のために、日々全力を傾けてまいりました。
今後においても、市民の皆様方と真摯に向き合い、そして共に考え、共に行動する中で、市民の方々の熱意や英知を結集し、協働のまちづくりを推進してまいりたいと考えていますので、市民の皆様方の一層のご理解とご協力を賜りますよう、よろしくお願い申し上げたいと思います。
さて、21世紀の扉が開かれてから10年、我が国は今まさに大きな変革の渦中にありまして、少子高齢化や人口減少が急速に進行し、そして、これまで国を支えてきた社会保障制度の持続可能性や労働力の減少などが大変危惧されてきています。
このような中、国におきましては、平成22年度の予算編成に当たり、「コンクリートから人へ」、そして「地域主権」などの5つの基本理念のもとに、不要不急の歳出の削減を行うとともに、税外収入を確保することによりまして、子育て、雇用、環境、科学・技術の4つの分野に重点を置いた予算配分をしたところでございます。
地方財政においては、個人所得の大幅な減少や企業収益の急激な悪化等によりまして、地方税収入や地方交付税の原資となる国税収入が引き続き落ち込む一方、社会保障関係経費の自然増や公債費が高い水準で推移すること等によりまして、財源不足が過去最大の規模に拡大するものと見込まれています。
このため、地方財政計画においては、地方が自由に使える財源を増やし、地方のニーズに適切に応えられるようにするために、地方の自主財源の充実・強化を図ることとし、地方交付税総額を約1.1兆円増額することとされたところであります。
本市におきましても、歳入面では引き続き市税収入が減少する一方、歳出面では社会保障関係経費や将来に向けた都市基盤整備、さらには喫緊の課題であります経済・雇用対策などに多額の費用が見込まれることから、財政状況はますます厳しくなるものと予想されています。
これらのことを踏まえまして、予算編成に当たりましては、財政の健全性を引き続き維持しながら、前例踏襲主義に陥ることなく、徹底した事務事業の峻別・見直しを行うなど創意工夫を重ねる中で、後ほど申し上げます5つの重点的な項目に取り組むとともに、市民にお約束しました諸施策につきましては、可能な限り予算に盛り込んだところでございます。
それでは、予算案の具体的な内容について、ご説明します。
お手元の資料の「平成22年度当初予算(案)のポイント」をご覧ください。
まず、1ページをお開きください。
私は、平成22年度の予算編成に当たりまして、九州新幹線の全線開業や地方分権に向けた国の取り組みなど、本市にとって大きく時代が動き出すこの時期を絶好のチャンスととらえまして、また、経済・雇用問題や地球環境問題など、本市を取り巻くさまざまな課題を踏まえた上で、私の目指す「人とみどりが輝くまち・かごしま」の創造に向けまして、5つの項目を重点的な取り組みといたしまして、市政を積極的に進めてまいりたいと思います。
まず、第1の項目は、「“新幹線・大交流時代”オリジナリティを生かした活力都市の創造」であります。ここでは、「魅力あふれる観光都市鹿児島の創造」や「経済・雇用対策と産業活力の創出」に取り組んでまいります。
第2の項目は、「“地球環境時代をリード”みどり輝く共生都市の創造」であります。ここでは、「環境にやさしいまちづくり」や「豊かな緑の保全・創出」に取り組んでまいります。
第3の項目は、「“学ぶよろこび・育むぬくもり”心の豊かさ実感都市の創造」であります。ここでは、「次代を担う子どもたちの育成」や「生涯学習体制の充実」などに取り組んでまいります。
第4の項目は、「“みんなの笑顔を安心サポート”安全・快適都市の創造」であります。ここでは、「きめ細やかな健康福祉施策の推進」や「安心安全な地域社会づくり」などに取り組んでまいります。
第5の項目は、「“市民のために・市民とともに”協働・連携重視の効率的な行財政運営」であります。ここでは、「協働のまちづくりの推進と質の高い市民サービスの提供」や「自主自立の効率的な行財政運営」に取り組んでまいります。
これらを踏まえて、平成22年度当初予算を編成しましたが、その予算案の規模でございますが、一般会計で2,197億4,000万円、特別会計・企業会計を合わせた鹿児島市全体の総額は3,789億4,600万円となります。
一般会計の規模を前年度と比較しますと、7.4%の増となりまして、過去最高の規模となりました。
それでは、2ページをご覧ください。一般会計当初予算(案)の特色でございます。
まず、予算規模は、ただいま申し上げましたとおり過去最高となっていまして、3年連続のプラス予算でございます。前年度と比較しますと約152億円の増で、伸び率7.4%は地方財政計画における伸び率マイナス0.5%を大幅に上回っています。
歳入の主なものは、市税が景気低迷等に伴う個人及び法人市民税等の減収などによりまして約12億円(マイナス1.5%)の減となっていますが、子ども手当の創設などによりまして、国庫支出金が大幅な伸びとなりました。また、地方交付税及び臨時財政対策債につきましては、国の地方財政対策に伴い、大幅な伸びとなったところでございます。
歳出の主なものは、扶助費が約588億円で、前年度に比べて約107億円の増となっています。これは、子ども手当の創設や生活保護の増などによるもので、これらの財源である国庫支出金も、結果として大幅に伸びることとなりました。
また、現下の厳しい経済・雇用情勢に対応する経費でございますが、普通建設事業費は約415億円、前年度比7.0%と大きく伸びています。これは、公共事業の持つ地域経済への大きな効果を踏まえるとともに、九州新幹線全線開業への対応や将来に向けた都市基盤の着実な整備などから増額となったもので、当初予算としては、3年ぶりに400億円を超える規模を確保したところであります。
このほか、県の基金を活用した緊急雇用及びふるさと雇用再生事業をさらに活用をするとともに、中小企業者への金融支援として、経営安定化資金の緊急特別対策の融資枠拡大など、対応を図ったところでございます。
こうしたことによりまして、雇用・経済対策費の総額は、21年度の2月補正と合わせますと、700億円を超える額を確保したところでございます。
次に、財政3基金につきましては、これまで申し上げた各種取り組みに対する財源確保として、引き続き約53億円を取り崩すこととしました結果、年度末の基金残高見込みは約143億円となりましたが、昨年度当初予算に比べますと、取崩額を約19億円縮小し、将来の財政需要に向けた基金の有効活用にも配慮したところでございます。
また、実質的な地方交付税であります臨時財政対策債を除いた市債残高につきましては、22年度末見込みで本年度より約8億円減の約2,062億円と予想しています。
したがいまして、プライマリーバランスにつきましては、引き続き黒字を確保したところであります。
このようなことから、引き続き財政の健全性も維持できているものと考えています。
以上、当初予算案の特色を申し上げましたけれども、総括しますと、今回の予算は、雇用対策や地域経済の活性化に十分配慮するとともに、将来を見据えた活力と魅力あるまちづくりへ向けた積極型予算としたところでございます。
なお、ただいま申し上げました内容につきましては、3ページから7ページに予算案の概況と資料を掲載していますので、後ほどお目通しをお願いします。
次に、平成22年度当初予算案の重点的取組項目の主要事業について、ご説明を申し上げます。
資料の8ページをご覧ください。重点的取組項目と、その主要施策を掲げています。各項目の主要事業の概要は、9ページ以降にお示ししていますので、その主なものを順次ご説明します。
まずは、9ページをお開きください。ここは、「“新幹線・大交流時代”オリジナリティを生かした活力都市の創造」でございます。
まず、「魅力あふれる観光都市鹿児島の創造」でございますが、(2)かごしま観光PRキャラバン隊宣伝活動事業は、かごしま観光PRキャラバン隊を組織し、関西以西で開催をされるイベント等を中心に派遣を行うなど、九州新幹線の全線開業を控えた本市の宣伝活動を広域的かつ集中的に実施していく事業であります。
10ページにまいりまして、(7)観光農業公園整備事業は、資源循環型のゼロエミッションを目指した観光農業公園を整備するもので、22年度はワークショップの開催、造成工事及び施設の実施設計等を行ってまいります。
11ページをご覧ください。
「経済・雇用対策と産業活力の創出」でございますが、(2)三市連携伝統的工芸品活路開拓事業、(3)三市連携地場企業販路拡大推進事業は、福岡市、熊本市との交流連携協定に基づきまして、三市の伝統工芸を活かした新製品のプロモーションを合同で実施することによりまして本市の伝統的工芸品の販路開拓を図るとともに、食品見本市への出展、合同商談会の開催等に取り組むことによりまして、市内中小企業者の商品の販路開拓を図ってまいります。
次に12ページにまいりまして、(10)緊急雇用創出事業臨時特例基金事業、(11)ふるさと雇用再生特別基金事業は、引き続き県の基金を活用し、雇用・就業機会の創出を図るもので、22年度は両基金合計で62の事業を実施してまいります。
13ページにまいりまして、(12)新規就農者支援対策事業は、市内の農業生産法人等の活用によりまして、就農希望者を新たに雇用し、営農技術等の習得機会を創出するとともに、先進農家が営農相談等を行う新規就農里親制度の創設などを行ってまいります。
14ページをご覧ください。「“地球環境時代をリード”みどり輝く共生都市の創造」でございます。
まず、「環境にやさしいまちづくり」でございますが、(1)第二次環境基本計画及び地球温暖化対策アクションプラン策定事業は、両計画の23年度策定に向け、本年度は市民や事業者へのアンケート調査等を実施してまいります。
15ページをご覧ください。
(6)環境子どもサミット開催事業は、市内の小・中学生を対象に、次代を担う子どもたちが環境問題について話し合う環境子どもサミットを開催します。
16ページをご覧ください。
「豊かな緑の保全・創出」でございますが、(2)全国都市緑化フェア開催事業は、九州新幹線全線開業に合わせて第28回全国都市緑化かごしまフェアを、23年3月18日から5月22日まで、本市で開催します。
17ページをご覧ください。「“学ぶよろこび・育むぬくもり”心の豊かさ実感都市の創造」でございます。
まず、「子育て支援」でございますが、(1)すこやか子育て交流館施設整備事業は、総合的な子育て支援の拠点施設として、未来を担う子どもたちや子育て中の親たちの互いの交流、育児相談、子育て関連情報の提供等を行う「すこやか子育て交流館」の整備を進めてまいります。本年10月にオープンの予定でございます。
18ページにまいりまして、(7)子ども手当は、次代の社会を担う子どもの健やかな育ちを支援するため、中学校修了前までの子どもを対象に子ども手当を支給します。また、(12)児童扶養手当は、対象を父子家庭まで拡大し、支給します。
19ページをご覧ください。
「次代を担う子どもたちの育成」でございますが、(2)学校支援ボランティア事業は、地域住民による学校支援のボランティア活動への参加を促進し、地域住民と児童生徒との交流などを図るもので、22年度は42校に拡大して実施します。
20ページにまいりまして、(5)学校施設緑化推進事業は、小・中学校における環境への取り組みで、22年度は6校で校庭の芝生化、11校で緑陰空間を整備するとともに、中郡小学校で屋上緑化を実施します。
21ページをご覧ください。
「生涯学習体制の充実」でございますが、(1)新鴨池公園水泳プールの整備は、23年4月の供用開始を目指しまして、引き続きPFI事業者により整備を進めてまいります。
22ページをご覧ください。
「文化芸術に触れる機会の創出」でございますが、(1)かごしま近代文学館及びメルヘン館リニューアル事業は、展示施設の全面改修を行い、子どもから大人まで、あらゆる世代がさらに興味を持ち、魅力を感じる施設として、23年3月にリニューアルオープンします。
23ページをご覧ください。「“みんなの笑顔を安心サポート”安全・快適都市の創造」でございます。
まず、「きめ細やかな健康福祉施策の推進」でございますが、(5)高齢者ふれあい・仲間づくり推進事業は、「高齢者ふれあい・仲間づくり強化月間」を設け、閉じこもりがちな高齢者に対し、民生委員などによる声かけ活動を行い、地域での仲間づくりや社会参加を促進してまいります。
24ページにまいりまして、(12)特定健康診査・特定保健指導事業、(13)後期高齢者長寿健診事業は、いずれも生活習慣病等の早期発見、重症化の予防を目的とするもので、新たな検査項目としてヘモグロビンA1cを追加します。
25ページにまいりまして、(15)食育推進事業は、食育に関わる団体等によるネットワークの連携強化を図るとともに、新たに情報紙の発行や食育レシピの作成などを行い、市民が自主的に食育に取り組むための環境づくりを進めてまいります。
26ページをご覧ください。
「安心安全な地域社会づくり」でございますが、(1)住宅用火災警報器設置促進事業は、23年5月末までの設置に向けまして、新たに安心安全火の用心サポーターによる訪問調査・啓発を行うなど、取り組みを強化してまいります。
27ページをご覧ください。
「人にやさしい快適な都市環境づくり」でございますが、(5)公共交通不便地対策事業は、これまでの吉野、谷山、喜入の3地域に加えまして、新たに皆与志、小山田など4地域において「あいばす」の運行を開始します。
28ページをご覧ください。“市民のために・市民とともに”協働・連携重視の効率的な行財政運営でございます。
まず、「協働のまちづくりの推進と質の高い市民サービスの提供」でございますが、(1)地域まちづくりワークショップ事業gは、市民と行政との協働による個性的なまちづくりを進めるため、新たに地域まちづくりワークショップが実施します地域プランに基づく取り組みに対し助成します。
次に、29ページをご覧ください。
「自主自立の効率的な行財政運営」でございますが、(1)次期総合計画策定事業は、23年度の策定に向けまして基本構想の素案を作成し、そして総合計画審議会、市民との意見交換会及び学生会議を開催するなど、検討を進めてまいります。
最後に、30ページをご覧ください。22年度に実施します主なゼロ予算事業でございます。新たな予算措置をすることなく、既定経費の中で行政サービスを提供するものでございます。お目通しをお願いします。
以上で私の説明を終わりますが、新年度予算案のその他の主要事業及び組織整備の概要につきましては、お手元の資料にお目通しいただきますよう、よろしくお願いします。
以上で、平成22年度の鹿児島市の一般会計の予算案の概要等について説明を終わります。
記者 レクのときに聞いて、返答はいただけなかったのですが、新幹線絡みの予算はどのぐらいと見積もられているのでしょうか。積算できないなら、積算できない理由を教えていただけませんでしょうか。
市長 私が先ほど申し上げました当初予算における重点取組の5つの項目は予算的に輻輳しているものもあろうかと思いますが、「“新幹線・大交流時代”オリジナリティを生かした活力都市の創造」ということで、それぞれの予算を集約しますと、約76億円程度になるのではないかと思っています。
記者 1項目めの「“新幹線・大交流時代”」を見据えたという部分の76億円が新幹線予算ととらえてもいいでしょうか。
市長 それを踏まえた予算を、この中で構築したということでよろしいと思います。
記者 国も公共事業をかなり減らすということで、18%減らすとも言っていたと思いますが、その中でこれだけ公共事業を増やしたのは、改めてどういう思いがあって、これだけ費やされたのかということをお伺いできますか。
市長 国としては、国の予算、そしてまた地方財政対策の中でも公共事業を減らす予算を組まれています。しかし、本市におきましても経済対策なり雇用対策を踏まえる中で、公共事業というものは、その対応として即効性があり、そしてまた大変経済浮揚に対する効果が大きいということを踏まえて、できるだけ公共事業の予算については確保するように努力したところでございます。
その中で、国の予算としては減額でしたけれども、私どもとしてはできるだけ国の予算を獲得し、そのものを公共事業の中に取り込むということを編成の重点課題として取り組んできました。特に、例えば鴨池公園水泳プールの整備事業や児童福祉施設整備についてはもう国の予算等が確保されました。それから区画整理事業等についても、私どもは都市基盤整備の一番大きな核ということで、これらもできるだけ進めていくということで、国の予算等や地方債等も確保しながら、公共事業の推進に取り組めたと思っています。
そして、それに付随する単独事業等についても、できるだけ予算を確保し、そしてまた一般財源等も投入をして、公共事業を確保できたと思っています。
先ほど申し上げましたように、これだけ地方の経済も疲弊し、低迷していますので、できるだけ経済効果が迅速に対応できる策として、鹿児島市においてはやはり公共事業の推進を対策の大きな要としてとらえたところであり、そのことを踏まえた予算編成をしたために、公共事業が3年ぶりですが400億円を突破したということとなっています。
記者 今、国の予算の獲得という話もありましたが、去年の政権交代もあって、そういう意味では例年とは勝手が違ったと思うんですけれども、政権交代後、初の予算ということで例年との違いなどはありましたでしょうか。
市長 これまでの予算の枠組みの中で、実質的に国の補助が明確にされない中での予算編成ではありましたけれども、子ども手当を含め、新政権が打ち出したさまざまな施策については、しっかりと予算編成ができたと思っています。
特に、都市基盤整備等もそれぞれの交付金等について、新政権の中で枠組み等を変える動きもありましたけれども、平成22年度につきましては、名称は変わりましたが、中身につきましては、引き続き、そのシステムは継続をしていくことも述べられていますので、それを踏まえて予算編成をしたところでありますので、今の政権が予算として、しっかりと国で審議されたものについては、それに呼応した予算を編成できたと思っています。
記者 扶助費の増大については、どう受けとめていらっしゃるのか。また、子ども手当からの給食費の未納を相殺する制度設計をという話が国で出ていますが、それについて市長はどうお考えでしょうか。
市長 扶助費は昨年から比べますと、約107億円増額になっています。22.3%増。その中で、子ども手当の扶助費は104億円、それと生活保護法による扶助費等が27億円等が増えています。一番大きいのは、子ども手当が扶助費の中で割合が大きくなっていますが、一方では生活保護法による扶助費等も毎年増えてきています。
生活保護費等の扶助費が増えるということは、やはり喫緊の経済情勢・雇用情勢がまだまだ低迷しているという現象の現れだと思っていますので、できるだけこの扶助費等が増えないような対策を進めていかなければならないと思いますが、喫緊の課題として、やはり生活保護を受けられる方々が月を追うごとに増えてきていますので、これらを十分にしっかりと見据えながら、市としても対策を考えていかなければならないと思っています。
やはり、歳出の中で扶助費が占める割合がすごく大きくなってきていますし、義務的経費も、昨年からしますと1.7ポイント上昇していますので、こういったことが続きますと、やはり財政、予算の硬直化も生じてくる可能性も出てきますので、できるだけ義務的経費の中の扶助費等が増えないような方向で予算編成ができたらと思いますし、増えないような対策も国にも求めていきたいと思っています。
もう1つは子ども手当の中で、給食費未納についての対応をどうするかということですが、今、国でいろいろと審議されています。この給食費未納については学校給食を担当している教育委員会の中でも大変大きな課題であると思っていますが、やはりこの子ども手当は、子どもを健全に育成し、育てるという目的で作られたと伺っていますので、その中から給食費を取る、取らないという国の最終的な指針は決められると思いますけれども、個々人の皆様方が判断されると思っています。
記者 財政状況も厳しい中で基金残高も減っていますが、3年連続、過去最高額の予算を編成したことについて、見解をお願いします。
市長 私としては、鹿児島市にとって、先ほど5つの項目を予算編成の柱として掲げましたけれども、新幹線を1年後に迎え、大交流時代を見据えた予算編成や環境に配慮した予算編成をしなければならない、そしてまた、市民の皆様方に約束した可能な限りの予算編成をしていかなければならないという大きな課題の中で、国の予算、県の予算、そしてまた地方交付税も伸びてまいりました。税等は12億円ほど減りましたけれども、交付税等も増えてまいりましたので、できるだけしっかりとした財源を確保して、それらの喫緊の課題に即応できる予算を編成できたと思っています。
この中で7.4%伸びたことについては、私は鹿児島市が今置かれている状況を踏まえて、やはり魅力あふれる活力都市にするべく、予算編成ができたと思っていまして、私自身は先ほど申し上げましたけれども、積極的な予算を組めたと思っていますし、また市民の皆さん方からも満足をしていただける予算が組めたのではないかと思っています。
記者 プライマリーバランスですが、黒字は確保されていますが、かなり大きく減っています。今後の見通しについてお聞かせください。
市長 私は予算編成を実施する中で、健全財政の維持というものが、やっぱり大きな柱になってきていると思いますし、私はこれまで、市長就任以来、この健全財政の維持を予算編成の大きな柱として編成してきたところでございます。特にプライマリーバランスにつきましては、できるだけというよりも、黒字を維持するということを大前提に編成してまいりました。
今、お話がありましたように、年々、プライマリーバランスの幅が小さくなってきていますので、できるだけ事業の峻別を行い、歳入の確保を行い、そして将来に負担を残す起債等もできるだけ縮減する中で、良質な起債を借りるということが大前提ですが、それらを踏まえる中で、まちづくりが推進できるような予算を組んでいきたいと思っています。
今年は、先ほど資料の7ページにプライマリーバランス8億4,200万円と、昨年からしますと大分黒字幅が減ってきていることは、少しは危惧するべきものではあると思いますが、やはり先ほども申し上げましたように、鹿児島市の今の置かれる環境を十分把握する中で、できるだけ鹿児島の未来に向けた活力と魅力ある都市の創造をするための予算編成を行ったために、こういう黒字幅が少なくなったということは現象としてありますけれども、今後ともこのプライマリーバランスを十分踏まえる中で予算編成をしていきたいと思っています。
記者 プライマリーバランスの話ですが、臨時財政対策債を除いた市債残高で計算すればそうなることであって、臨時財政対策債を後年度の交付金から先取りしたという形で見ればマイナスになり、市債残高は前年より増えていると考えれば健全財政と言えるのかどうかという疑問がありますが、その点をご説明いただきますでしょうか。
市長 実際、起債で借りる場合は、臨時財政対策債も含めて借りてきますので、今お話がありましたように、それを踏まえると、プラス・マイナスからしますと赤字になるかもしれません。
しかし臨時財政対策債というのは地方交付税、一般財源として地方交付税として、国が本来なら交付すべきものをその元利償還を後の交付税の中で見るということで、100%地方交付税の中で見てくださいますので、地方交付税の肩代わりということで、私どももとらえていますし、国もそういう形で臨時財政対策債を発行していますので、これは鹿児島市だけではなくて、他の自治体もプライマリーバランスを公表する場合は、臨時財政対策債を除いた計算で発表していると思います。
あくまでも、これは100%の地方交付税を対処してくださいという前提のもとでの起債発行ということになっていますので、ご理解いただければと思います。
記者 当然、国は計上していくと思いますが、将来、交付税が圧縮されてしまうという懸念はないでしょうか。
市長 地方交付税の原資そのものが、経済状況によって確保できないという懸念もありますけれども、やはり我々地方自治体としては、この地方交付税は地方に与えられた固有の財源ということでとらえていますので、そういったことを踏まえると、国として、その地方交付税の確保に十分な配慮していただくように、私どもは全国市長会等を通じて毎年要望しています。
そういう懸念等もありますけれども、今の枠組みの中では、臨時財政対策債は交付税と同じ位置づけをされた起債ということでありますので、今、100%交付税として見てくれますので、現時点ではこの対策債については十分活用して、まちづくり、また市政の運営の財源として活用していきたいと思います。
記者 予算案のポイントには入っていませんが、平川動物公園のコアラ会議開催について、市長は昨年、オーストラリアを訪問されていますけれども、平川動物公園とコアラを観光の拠点にしていく考えをお持ちでしょうか。
市長 平川動物公園はコアラのいる動物園として、これまで多くの皆様方に愛されてきました。しかしながら、現状を見てみますと、この前、雄のコアラも死んでしまい、雌のコアラが今動物園に8頭います。
先般、パースに姉妹都市の盟約の関係でお伺いした際に、ブリスベーンの動物園からコアラを寄贈していただきましたので、それらの悩みをお話しましたところ、オーストラリアでもコアラが減少しているということで、そのことは共通の課題、これはコアラをどのようにして今後育成、保護していくかということがコアラを抱えた動物園の大きな悩みであるということを知りました。
平川動物公園と同じ種のコアラを飼育している動物園が国内に4つございますので、それらの動物園と協力して、コアラの種の保存をどういった形でしていくかと、コアラをどう動物園として格付けていくかということを十分話し合い、そしてまた、今回の予算の中にブリスベーンでコアラの研究をしている方をお招きして、一緒になってコアラの生存、飼育や保育の方法等を協議して、できるだけコアラのいる動物園という位置づけを平川動物公園として保っていければと思っています。そのための予算を今回計上しました。
記者 22年度予算では、自主財源比率が5ポイント去年より下がりました。国においては、将来的に地方交付税の見直しというのが当然、話は上がると思いますが、比率が下がったことをどのようにお考えでしょうか。今後の見通しなどもお聞かせください。
市長 今回、自主財源比率が下がりました。これは税等が下がりましたし、また繰入金などの減により、自主財源が減ってきたということです。一方では、依存財源の中に地方交付税が入っていまして、地方交付税が税の減少分を補てんしてくれる形で今回の予算を編成しているという特徴があるのではないかと思っています。できるだけ自主財源が多いほうがいいわけですけれども、今の経済状況や雇用情勢を踏まえると、自主財源の伸びというものも、今後期待できるものではないと思っています。
もう一方では、地方交付税そのものも、先ほどお話ししましたように、これは国税の5税から地方交付税が算出されますので、国税そのものがやはり減ってきますと、地方交付税そのものについても大変影響があると考えています。
そういった意味で、良質な財源を確保しながら、そして一方では自主財源である税、並びにそれに伴う使用料や手数料をいろいろと検討する中で、自主財源をどういう形で確保していくかということが、今後の予算編成における課題になってくるのではないかと思っています。
そういったことを踏まえますと、経済浮揚、雇用浮揚、そして経済の振興策を市の予算として、市のとるべき対策として喫緊のものととらえていまして、そういった意味でも、今回、公共事業を増やしましたし、そしてまた経済・雇用対策にも大きな取り組みをする予算編成ができたと考えています。
記者 今回、市長が考えている予算編成の中で、達成率でいくと100%の思いで予算編成ができたのか。もしできなかった場合、どういった点が今後の課題として、もっと予算を充てていくかと教えていただけますでしょうか。また予算規模が今回、伸び率が7.4%増ということですが、これは合併以降では過去最高になるのでしょうか。
市長 今回の予算編成に対しての思いですが、このポイントの中の1ページの一番上に書いてありますが、鹿児島市を取り巻く環境や国・地方を通じた厳しい財政状況、経済・雇用問題など、これらを踏まえる中で予算編成したわけですが、その根本には今、地方の時代であり、やはり地方が活力なくしては国の活力もないという、そういう時代に来ているのではないかと思っています。
今、地方分権・新時代への移行ということで、ここで掲げてありますけれども、やはり国から地方へ、そしてまた地方の独自性・自立性、独創性、そういうものが問われる時代になってきていると思っていますので、私はこの「人とみどりが輝くまち・かごしま」というものを私の市政の方向性として位置づけまして、5つの重点項目を地方分権新時代への移行を見据えて、これらの5つの重点項目を掲げて予算編成をしました。
それぞれの項目について、市民の皆様方のご意向を踏まえながら、約束をしたことを踏まえながら、そしてまた将来を見据えながら予算編成ができたと思っていまして、私にとりましては満足できる予算編成ができたと思っています。
また予算の7.4%の伸びは、合併後、一番大きな伸びであると思います。過去も平成4年に、この7.4%を超える伸び率があったと記憶していますけれども、それ以来、この大きな伸びはなかったのではないかと思っています。
(記者会見終了)
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