展覧会概要
「素描」は、フランス語ではデッサン、英語ではドローイングまたはスケッチと呼ばれる線描を主とした表現です。旅先でのスケッチ、モチーフの研究やふとしたアイデアを描きとめた紙片、完成作品のイメージをまとめた習作や下絵など、多くは人に見せることを目的に描かれたものではありませんが、作品化される前の臨場感溢れる表現は独自の魅力を放ち、美的価値を兼ね備えたものも数多くあります。
明治後期に東京美術学校に在籍し、西洋画の基礎を学んだ時任鵰熊らの人体デッサン。モチーフとなる対象を繰り返し描き研究成果を創作に結び付けた日本画家・満田天民や洋画家・海老原喜之助、版画家・橋口五葉の素描。旅先の風景に取材し油彩画の大作を生み出した藤島武二や梅原龍三郎の風景スケッチ。和田英作の《野遊》(東京藝術大学蔵)や藤田嗣治の《争闘Ⅰ》(エソンヌ県議会蔵)の下絵、彫刻家・ブールデルやマイヨールの思索の跡をうかがわせる素描、彫金家・帖佐美行のモダンな造形感覚溢れる図案下絵…。本展では、所蔵品の中から様々なジャンルの作家が描いた素描を、ときに完成作品も交えながら一堂に展示いたします。彼らの創作の裏側を覗き見るような、ワクワクした気持ちでご鑑賞いただけましたら幸いです。
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(1)和田英作《野遊(下絵)》(部分)1925 年、木炭・紙
(2)橋口五葉《横すわりの女》制作年不詳、鉛筆・紙
(3)満田天民《闘鶏》制作年不詳、淡彩・紙
(4)帖佐美行《下絵79(熱砂の話<A>一部)》制作年不詳、ペン、鉛筆・和紙
(5)海老原喜之助《さまざまなポーズⅡ》制作年不詳、ペン、黒インク、墨・紙
(6)藤島武二《蒙古高原の日の出》1937 年、パステル・紙
(7)ポール・シニャック《風景》制作年不詳、鉛筆、水彩・紙、寄託( 陽山美術館蔵)
(8)エミール=アントワーヌ・ブールデル《サッフォー》1900 年、水彩・紙
ギャラリートーク(担当学芸員一緒に、参加者同士で対話をしながら鑑賞します。)
初夏の所蔵品展 ミニ特集:生誕120年 海老原喜之助と吉井淳二
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最終更新日:2024年5月27日
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