展覧会概要
彫刻には、石や木などの硬い素材をノミで彫り刻んでつくるカーヴィング(彫造)と、粘土や蝋などの柔らかく可塑的な素材を手やヘラで成形するモデリング(塑造)の技法があり、ふたつを合わせて彫塑と表現されることもあります。ブロンズ彫刻は作家が粘土で制作した原型からとった型に金属を流し込んでつくられるため塑造にあたります。粘土を付けたり削ったりする作業を繰り返しながら生み出された形のなかに、作家の試行錯誤や手のぬくもりを感じることができるでしょう。
原料のブロンズ(青銅)は、主成分である銅に錫を混ぜることで硬度を強くした合金です。その歴史は古く、紀元前3000年頃のメソポタミアのシュメール文明まで遡ることができ、研磨や圧延などの加工が可能であったため斧・剣・銅鐸などが作られました。日本には紀元前400年頃に大陸から鉄とともにもたらされ、現在も10円玉硬貨など身近な製品に使用されています。
ブロンズは錫の含有量によって赤銅色から黄金色、白銀色まで色の変化が見られ、さらに腐食によって美しい青銅色になります。ブロンズ彫刻は基本的に彩色されることはなく金属の色がそのまま生かされています。これは、あらゆる角度から鑑賞される彫刻にとって、光もまた作品の大切な構成要素となるからです。モノトーンの肌は、光によってもたらされるボリュームやモデリングを最大限に引き立てています。
本展では、西洋近代彫刻の大家であるロダンやブールデルのほか、彼らにつづいて空間との関係を探究したアーキペンコやザッキン、ムーアら、そして鹿児島ゆかりの安藤照、中村晋也らの作品を一堂にご紹介します。常設展示の屋外彫刻とともにブロンズ彫刻の世界をお楽しみください。
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(1)オーギュスト・ロダン《カレーの市民 縮小像ピエール・ド・ヴィッサン》1895 年(寄託品)
(2)アントワーヌ・ブールデル《弓をひくヘラクレス(習作)》1909 年(寄託品)
(3)シャルル・デスピオ《フォール嬢》1925 年
(4)ヴェナンツォ・クロチェッティ《水浴のあと体を拭く女》1968 年
(5)安藤照《裸婦座像》1942 年
(6)安藤照《日本犬ハチ公像》1933 年(寄託品)
(7)中村晋也《おしゃれな渡り鳥》1978 年
★出品リスト(PDF:349KB)
ギャラリートーク(学芸員による作品解説)
同時開催(観覧料共通)
冬の所蔵品展 特集:没後100 年 橋口五葉④ たどり着いた境地―木版画の世界
春の所蔵品展 特集:没後100 年 橋口五葉⑤ 五葉の見た夢―没後の動きと橋口康雄
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最終更新日:2021年12月21日
休館日カレンダー
常設展観覧料など
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