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プラスチック製品のポイ捨てなど不適正な処理により、2050年までに海洋中のプラスチックの量が魚の量を超えると予測されています。
海洋プラスチックの問題や、リデュース・リサイクルなど資源循環の取り組みについて、様々な体験を通して理解を深めてもらうため、令和5年10月から12月までの間、鹿児島大学南九州・南西諸島域イノベーションセンター特任教授である藤枝繁先生を講師に迎え、計3回のワークショップを実施しました。
皆さんにも海洋プラスチック問題などに興味を持っていただき、身近なことから実践していただけるよう、ワークショップの内容について紹介します。
海岸には、ペットボトルやプラスチック容器、漁具、バケツなど色々なプラスチックごみが漂着していました。
これらのごみは、海岸へポイ捨てされたり、河川や海から流れてきたりして漂着したものです。
海外から流れてくるプラスチックごみや建築資材(柱、トタン板等)を回収しました。
集めたごみをブルーシートの上で分別しました。
分別したごみを「ごみ調査・データカード」に転記し、計量を行いました。
集めたごみの量は約9.8kg。30リットルのごみ袋で
4袋になりました。
【ワークショップ1回目で学んだこと】
海のごみは、海岸へのポイ捨てや河川から流れてきたもののほか、国や時間を超えて海岸へ漂着したものもあります。海岸にはどのようなごみがあり、ごみを減らすためにはどのような問題があるのかを考えました。
海岸のごみが流れ着いてたまっている場所を見つけ、参加者で横一線になり、漂着物のうちマイクロプラスチックごみをバケツで回収しました。
バケツに入れたマイクロプラスチックごみの中に水を張り、網杓子でふるいにかけ、ピンセットでマイクロプラスチックを取り出します。
カラフルなマイクロプラスチックを使って、アート作品を作成しました。
【ワークショップ2回目で学んだこと】
河川などから海へ流れ出たビニール袋やフィルムなどは、マイクロプラスチック(5ミリ以下の微細なプラスチック)となったり、海底に沈んだりして回収が困難になります。
海にプラスチックごみが流れ出ないようにすることの重要性を学びました。
鹿児島港の清掃作業を行う清掃船「きんこう」の働きや、鹿児島市の海の現状について、鹿児島清港会の方から説明を受けました。鹿児島港では、どのようなごみが回収されるのかなど知ることができました。
続いて、清掃船の船内を見学した後、清掃船が実際に流木やペットボトルの回収作業のデモンストレーションを行う様子を見学しました。
清掃船はどのような仕組みで回収作業を行うのかを間近で見ることができ、皆さん真剣な様子で見ていました。
かごしま水族館では、水族館のスタッフから説明を受けながら、黒潮大水槽の裏側を見学するバックヤードツアーを行いました。
展示されているジンベエザメや海洋プラスチックの影響を受ける海の生物の説明を受けながら、普段見ることができない水族館の裏側を見学することができ、貴重な体験となりました。
ワークショップ全3回の最後となる講義では、藤枝先生から北太平洋のミッドウェー環礁での話などを聞きました。
今、実際に起こっている海洋プラスチックごみによる鳥や魚などの生物への影響を聞き、3回のワークショップを通して学んだことを振り返りながら、今後一人ひとりがどのような取組みをしていかなければならないかを考えました。
【ワークショップ3回目で学んだこと】
流木、海藻、軽石、発泡スチロール、プラスチック容器類、ビニール製品、空き缶、ガラス瓶などで、プラスチックの製品が多い。
清掃船「きんこう」による海洋ごみ回収作業では、令和4年度までの10年間の平均で見ると6月から10月の5か月間で年間の回収量の約74パーセントを回収しており、この時期は梅雨や台風により増水した甲突川などの河川から海に流れてくることなどが、ごみの量が増える大きな要因と考えられます。
色々な製品や容器などに使われており、日常生活に欠かすことのできないプラスチックですが、不適正な処理による生物への影響が発生しています。
レジ袋やペットボトルなど使い捨てプラスチックの使用を抑制し、正しく処分をすることが大切です。
参加した皆さんは、全3回のワークショップやフィールドワークを通して、海洋ごみの問題や使い捨てプラスチックが環境へ与える影響、それらを解決するために取り組むべきことを学びました。
【参加した皆さんのアンケート結果】
参加前:87%→参加後:95%
参加前:81%→参加後:95%
参加前:92%→参加後:100%
参加前:38%→参加後:77%
プラスチックごみとなるものを減らす
外出時、ペットボトルを買わないように水筒を持参する
ごみの分別をしっかりする
リユース出来るものを利用する
プラスチックの問題に関心を持つなど
プラスチックは、容器や製品など多くのものに使われており、わたしたちの暮らしになくてはならないものとなっています。しかし、不適正な処理による海洋プラスチックの問題など様々な影響を与えています。
脱プラスチックや海洋ごみ問題解決のため、ごみとなるプラスチックを減らすことや、捨てるときには正しく処理をするなど、身近なことからできる取組みを紹介します。
マイバッグやマイボトルなどを使用し、使い捨てプラスチックの使用を控える。
つめかえのできる商品を選ぶ。
壊れたときは修理をして、長期間使う。
不要になったものは捨てずに、必要な人に譲る。
ペットボトルやプラスチック容器類などの資源物はしっかり分別をする。
海や河川、街中でごみの投棄(ポイ捨て)をしてはいけません。
海洋ごみは投棄されたごみだけではありません。ごみステーションや屋外に置いてある物が風で飛ばされ、海や河川に流れていくこともあります。
ネットをかける、きちんとごみ箱に入れるなどごみが散乱しないようご協力ください。
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