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鹿児島市立美術館 > 展覧会 > 令和7年度秋の所蔵品展

秋の所蔵品展 ミニ特集:令和6年度新収蔵品Ⅱ 藤山ハンの世界 

展覧会概要

 当館のコレクションを紹介する所蔵品展では、黒田清輝、藤島武二、和田英作をはじめとする鹿児島ゆかりの作家の作品、そして印象派からポップアート以降まで19~20世紀の美術の流れをたどる展示を行っています。

ミニ特集では、令和6年度に収蔵した新たな作品から、人形をモチーフにしたシリーズなどで独自の世界を描き続ける鹿児島市出身の画家・藤山ハンの作品を特集します。
 藤山は青年期に北海道、東北への旅をきっかけに画家を志し、独学で絵画の道を歩みました。1960年代から、人形や屠殺場の光景をモチーフに、内なる世界や、生と死を深く眼差す連作を描き始めます。その独特の表現は、見る者の心を強く揺さぶり、シュルレアリスムの詩人・画家の瀧口修造や、映画作家のドナルド・リチーらに高く評価されました。藤山の作品に通底するものとして、可視の世界と不可視の世界との往来があります。藤山は母の死に伴い訪れた奄美大島で、「見えていながら、どうしても見えないものの世界や、すぐ近くに有りながら、手の届かぬ深淵が、確かに存在する」という確信を経験したといいます。作品を見つめると、具象的な表象のなかに、かたちのないもの、目には見えぬものが浮かび上がってくるように感じられます。それはまた、見る者それぞれの内面と呼応するものでもあるでしょう。
 このたび新収蔵されたのは、「人形」や「屠殺」シリーズといった1960~70年代の代表的な初期作品を中心に、「人形」シリーズの展開や「ポスト」という新たなシリーズが生み出された90年代までの作品10点です。

この機会にどうぞご覧ください。

会期:令和7年9月17日(水曜日)~令和7年11月30日(日曜日)

  • 会場:2階(常設展示室)
  • 観覧料(詳細ページへのリンク)

主な展示作品

  • ミニ特集

藤山ハン《人形の肖像》

藤山ハン《人形の肖像》

藤山ハン《隔離室》

藤山ハン《隔離室》

藤山ハン《人とポストの肖像》

藤山ハン《人とポストの肖像》

  • 印象派以降の西洋美術や郷土ゆかりの作品

オフィーリア

オディロン・ルドン《オフィーリア》

二つの黒            
ワシリー・カンディンスキー《二つの黒》

和田英作《田園の夕暮れ》
和田英作《田園の夕暮れ》

橋口五葉《神戸の宵月》

橋口五葉《神戸の宵月》

薩摩焼《薩摩金襴手大花瓶》            
薩摩焼《薩摩金襴手大花瓶》

 

学芸員のイチオシ作品 山口長男 《行》

 作者が「私は左官屋」というように、壁に絵具を何度も塗り重ねたような絵です。山口は黒地に黄土色、赤茶色を塗った絵をたくさん描いています。この絵も黄土色が重厚に塗られ、その跡でしょうか、線のような?筋が9本見えます。まず絵の前で多くの人は「いったい何だろう」と思うのでは。                      
 この黄土色は山口の生まれ故郷、朝鮮の土地への想いが込められているそうです。幼い頃歩いた道、家の庭や畑の土地の色、それは作者の原風景。ある意味自分自身なのかもしれません。そんなことを知ると少しだけ納得しますが、まだ「何だろう」感は残りますよね。絵の題名は9本の筋から「行」とされましたが、描くこと自体が「行い」という「行」の意味もあるのかな?と深読みできそうです。       
 さて、抽象画などの絵はつい難しく考えてしまいがちですが、すぐにわかる必要はなく、ただ「今ここで」作品に出会えたという時間、空間を大切にする…。そんな楽しみ方はどうでしょうか。私の場合、難解な作品の前で孤独感につつまれ、ちらっと見てしまう作品もありますが、この絵は見る人をあたたかく迎え、何故か立ち止まってしまいます。気になる逸品として超おすすめです!(学芸嘱託員 佐々木 恵子)                                           

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お問い合わせ

鹿児島市立美術館

〒892-0853 鹿児島市城山町4-36

電話番号:099-224-3400

ファクス:099-224-3409


最終更新日:2025年9月25日

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