展覧会概要
当館のコレクションを紹介する所蔵品展では、黒田清輝、藤島武二、和田英作をはじめとする鹿児島ゆかりの作家の作品、そして印象派からポップアート以降まで19~20世紀の美術の流れをたどる展示を行っています。ミニ特集では、太平洋戦争から終戦80年を迎えるにあたり、反戦への思いや平和の尊さをテーマにした作品を展示します。
特集の中心作家として取り上げる浜田知明は、過酷な従軍経験から身をもって感じた戦争の不条理さ、戦争を起こす人間の愚かさなどを、銅版画で表現し続けました。銅板に刻んだ硬質な線と腐食による繊細な陰影が織りなすモノクロームの作品は、凄惨を極めた戦場の実際を伝える重苦しいテーマとは裏腹の美しい版画表現によって、より一層残酷さが際立っています。作品と共に紹介する浜田の言葉は、戦争体験の記憶が風化しつつある現代の私たちに、戦争の悲惨さを強く訴えかけるものです。
そのほか、世界で唯一核兵器が使用された日本から、言葉を超えて核兵器廃絶や平和を世界に呼びかけることを趣旨とした「ヒロシマ・アピールズ」のポスター、海老原喜之助、香月泰男、中間冊夫、郡山三郎による絵画、染川鐵之助による鋳金を戦争にまつわる作品として展示します。
世界に目を向けると、今なお、地域間、民族間の戦争や紛争が各地で絶え間なく続き、メディアを通してその様子が生々しく報道されています。戦争の時代に身を置いた作家たちが作品に込めた、二度と戦禍を繰り返してはならないという願いを改めて感じ、戦争や平和について考えるきっかけとなれば幸いです。
主な展示作品
展示風景
戦争の悲惨さや平和の尊さを伝える作品を展示します。
クロード・モネ《睡蓮》
和田英作《赤い燐寸》
新納忠之介《法隆寺天蓋の天人》
薩摩切子《紅色切子蜘蛛巣文皿》
最終更新日:2025年7月2日
休館日カレンダー
常設展観覧料など
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※毎月第3日曜日は小・中学生常設展示観覧料無料