展覧会概要
当館のコレクションを紹介する所蔵品展では、黒田清輝をはじめとする鹿児島ゆかりの作家の作品、そして20世紀を中心とした西洋美術の流れをたどる作品をご覧いただけます。今回は、2025年のNHK大河ドラマで江戸時代後期に活躍した版元・蔦屋重三郎の生涯が紹介されることにちなんで当館所蔵品の中から似顔絵をご紹介します。
似顔絵は人物の個性をときに誇張も交えて描いた肖像画ですが、日本語の「似顔絵」は、江戸時代に流行した浮世絵のうち個人の特徴をとらえた役者絵や美人画の呼称が語源となったそうです。江戸時代後期の出版文化の盛り上がりにともない、浮世絵は木版画として様々な版元から出版され、版元は出版物の企画から制作、販売までを取り仕切り、ときに新人作家を発掘して人気作家へと育てました。なかでも蔦屋重三郎は、奇抜な役者絵を描き話題を呼んだ東洲斎写楽を世に送り出すなど、江戸出版界のヒットメーカーとして活躍しました。
ここにご紹介する浮世絵は、大正時代に橋口五葉が復刻し『浮世風俗やまと錦絵』として出版したものです。復刻にあたりサイズを縮小していますが、その他はオリジナル作品に忠実に再現されています。
また、西洋作家の描いた似顔絵としてマリノ・マリーニの作品をご紹介します。イタリアの彫刻家として名高いマリーニですが、画家としての顔も持ち、数多く制作した著名人の肖像彫刻とリンクするように優れた似顔絵も残しています。人物の印象を素早く的確に描き出したそれらの作品からは、作者の鋭い観察眼を感じ取ることができるでしょう。展示作品は、マリーニの油彩画、素描などのオリジナル作品を、1968年にリトグラフの技法で複製し版画集として出版したものです。
主な展示作品
橋口五葉復刻 東洲斎写楽《大谷鬼次》
橋口五葉復刻 喜多川歌麿《小伊勢屋おちゑ》
カミーユ・ピサロ《ポントワーズのレザールの丘》
ヴェナンツォ・クロチェッティ《水浴のあと体を拭く女》
木村探元《雪景山水図》
藤島武二《鉸剪眉》
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最終更新日:2024年12月4日
休館日カレンダー
常設展観覧料など
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※毎月第3日曜日は小・中学生常設展示観覧料無料