更新日:2024年12月2日
8・6豪雨災害に対する市議会の取り組み
平成5年8月6日、鹿児島市は記録的な集中豪雨に見舞われ、がけ崩れなどによる死者・行方不明者48名を含む約100名の人的被害をはじめ、12,000棟を超える家屋被害、道路の寸断や水道の断水等で、市民生活は大きな打撃を受けました。
市議会における当時の取り組みを振り返るとともに、30年後の令和5年の取り組みについて紹介します。
平成5年
- 市議会は8・6豪雨に伴う災害が甚大であったことを踏まえ、直ちに翌7日、正副議長を正副会長として、総務文教・厚生保健・経済企業・建設消防の4常任委員会の委員長および議会運営委員会の正副委員長・各会派代表者で構成する鹿児島市議会災害復旧対策協議会を設置し、被害状況の把握や当面の復旧対策について協議を行い、当局に意見反映を行いました。また、議会運営委員会でも時機を失することのないよう、災害復旧対策の取組等について協議を行いました。
- 4常任委員会および都市整備対策特別委員会では、所管する分野ごとに被害状況の把握を行い、教育施設の2学期始業時までの応急的な復旧、災害ごみ等の早期搬出、避難所の対応を含めた避難対策、防疫の迅速な対応、融資制度の改善、甲突川・稲荷川・新川の3河川の河川改修問題、宅地内土砂の排除、二次災害防止対策など各面から論議を交わす中で各種施策の対応について当局に要請を行うとともに、各委員会から市議会として国に要請すべき事項について議長に申し入れを行いました。
- 甲突川の河川改修は、8・6豪雨に伴う災害を踏まえ、県から市長に対して河川激甚災害対策特別緊急事業を導入するに当たっての意見聴取が求められたことから、市議会としては同問題を論議するため、議会協議会や都市整備対策特別委員会・総務文教委員会・建設消防委員会の3委員会による連合審査会を開催しました。連合審査会における論議等を踏まえ、都市整備対策特別委員会を開催し、同事業の採択の是非について、当局に意見反映を行いました。
- 正副議長は、市議会を代表して内閣総理大臣、国土庁長官、建設大臣、参議院災害対策特別委員会等の災害視察等に同行し、国等の早急な対応方について要請を行いました。
- また、市議会としては、4常任委員会および都市整備対策特別委員会からの申し入れを受け、災害復旧対策について4回にわたる中央陳情等を行うとともに、鹿児島市・鹿児島郡区選出県議会議員に対しても、県議会での強力な取組方について要請しました。
9月6・7日 |
9項目の要望事項 |
内閣総理大臣、国土庁・大蔵省・建設省など各関係省庁、県関係国会議員、衆・参災害対策特別委員会委員長・理事等 |
9月20・21日 |
11項目の要望事項 |
各政党の党首・政策審議会メンバー等、建設省、厚生省等 |
10月14日 |
12項目の要望事項 |
県関係国会議員、自治省、農林水産省など関係省庁 |
12月16・17日 |
11項目の要望事項 |
運輸省・建設省・厚生省など各関係省庁、各政党、県関係国会議員 |
これらの陳情等の結果、災害査定が早期に実施されるとともに、宅地内土砂の排除については都市災害復旧事業、道路上の堆積土砂排除については公共土木施設災害復旧事業として採択され、また、特別交付税の増額につながりました。
9月議会において、再びこのような災害を受けることのないまちづくりに努力することを決意するとともに、関係機関等による豪雨災害支援に対する感謝の意を表すため、「平成5年8月6日の豪雨災害支援に対する感謝決議」を全会一致で可決しました。
また、8・6豪雨災害直後に設置し緊急的な災害対策に取り組んできた鹿児島市議会災害復旧対策協議会について、11月15日をもって終息し、災害に強いまちづくりを目指し、市議会全体として超党派的に取り組むべき事項を協議するため、新たに鹿児島市議会防災都市推進協議会を設置しました。
- 市議会内各会派等では、それぞれ独自に災害の現場視察等を実施し、被災住民からの要望などの処理や、9月議会での代表質疑、個人質疑、関係委員会での審査等を通じて当局に迅速かつ的確な対処方を要請するなどしました。
令和5年
- 8・6豪雨災害の記憶を風化させず継承するため、令和5年6月3日に開催された「防災シンポジウム」で当時の市議会の取り組みを紹介しました。また、令和5年7月31日から8月29日まで開催の「8・6豪雨災害パネル展」や、8月6日に開催された「防災お天気フェア」でもこれらを紹介しました。