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応急手当講習テキスト8
応急手当(2)
熱中症
衣服を脱がせ、体を濡らし、うちわや扇風機で風を当てる
- 立ちくらみ・こむらがえり・大量の発汗といった症状
傷病者を涼しい場所で安静にし、水分・塩分(スポーツドリンクなど)を補給しながら体を冷却する - 頭痛や吐き気、倦怠感があるとき
医療機関を受診する - 意識がもうろうとしている、体温が極端に高いなどの症状がある場合
ただちに119番通報し、救急隊が到着するまで冷却を続ける
※冷却するには衣服を脱がせ、体を濡らし、うちわや扇風機で風を当てるのが効果的です。
※氷嚢や保冷材で脇の下、太ももの付け根、首などを冷やすのも有効です。
低体温・凍傷
寒いところで体温が極端に低下することは命の危険がある
- 低体温
暖かい場所に移し、濡れた衣服は脱がせて乾いた毛布や衣服で覆う - 凍傷
濡れた衣服は脱がせて乾いた毛布や衣服で覆い、体温の低下を防止する
患部を擦らないようにしてぬるま湯で温める・凍傷部位は締めつけない・足が凍傷の場合には体重をかけない
※凍傷部位が再び強い寒冷にさらされる可能性がある場合や、医療機関が近くにある場合は、温めないですみやかに医師の診察を受けてください。
毒物
医薬品、漂白剤、洗剤、化粧品、乾燥剤、殺虫剤、灯油などは中毒を引き起こす原因となる物質
- 毒物を飲んだとき
毒物を飲んだ場合は、水や牛乳を飲ませたり、吐かせることはせず、最初に119番通報して指示を仰ぐ
毒物の種類、飲んだ時刻や量について情報があれば提供する - 毒物の付着
酸やアルカリなど毒性のある化学物質が皮膚に付いたり、目に入った場合はただちに水道水で洗い流す
けいれん
発作中の怪我の予防と発作後の気道確保がポイント
発作中は怪我を防止するため、階段などの危険な場所から傷病者を遠ざける。舌を噛むことを予防する目的で、口の中に物を入れることは効果がなく、窒息などの原因になるので避ける
※けいれんが治まらない場合、またけいれんが治まった後で意識のはっきりしない状態が続く場合には、119番通報し、救急隊を待つ間、回復体位にして気道を確保し、吐物で窒息するのを防いでください。
溺水
ただちに119番(海上では118番)・無理に水を吐かせない
溺れている人の救助は、消防隊やライフセーバーなどの救助の専門家に任せるのが原則
- 水面に浮いて助けを求めている場合
つかまって浮くことができそうなものやロープがあれば投げ渡し、岸に引き寄せる - 水没した場合
水没した場所がわかるように目標を決めておく・救助の専門家が到着したらその目標を伝える
※水深が腰の深さ程度であれば、救助の専門家が到着する前に水没した人を引き上げます。ただし、水の流れがあるところや、水底が見えない場合は入らないでください。心肺蘇生が必要な場合は、水中から引き上げてから開始します。水を吐かせるために溺れた人の腹部を圧迫しないでください。
刺咬症(傷)
【蛇(マムシ、ヤマカガシ)による咬傷】
マムシは北海道から薩摩・大隅半島まで生息しており、体長70cmほどの小型の温和な性質のヘビである。三角形の頭部で、前歯の周囲に毒腺があり、咬まれると毒液が入り込む。毒性は、蛋白分解酵素で出血毒と呼ばれている。咬まれた直後に電撃性の痛みを生じその後も灼熱感を伴う痛みが継続する。
ヤマカガシは本州、四国、九州に広く分布する。体色はさまざまで黄色の首輪紋をもつものが多い。
全長1m前後、頭は細い円筒形で、温和な性質であるが奥歯に毒牙がある。マムシと比べると重症例は少なく、毒性は血液凝固障害をきたすのが特徴で、咬まれた当初の症状は軽微であるが、少し時間が経過してから咬傷部の出血を起こす。
応急手当
咬傷部より中枢側(心臓側)で軽く緊縛(幅のある布など)したうえで、患肢を心臓より低く保つ。咬傷部を軽く冷やすのもよい。
※体を激しく動かすと、毒が全身にまわりやすくなるので安静な状態を保ちながら救急車を要請してください。
【昆虫類による刺咬傷】
昆虫類の中ではとくにハチによる刺傷に注意する。刺された直後に激痛があり、局所に発赤、腫脹をきたす。刺咬傷部に対しては、残存した針などを除去した後、清潔な水で洗浄し、被覆して冷やすこと。
※過去にハチ刺傷の既往があると、呼吸困難からショック症状となり心停止に至る(アナフィラキシーショック)ことがあるため、身体に異常を感じたら直ちに救急車を要請して下さい。
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