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応急手当講習テキスト2
心停止の原因と予防・早期認識と通報
子ども
子どもの主な心停止の原因には、けが(外傷)、溺水、窒息などがあります。チャイルドシートの使用、自転車に乗るときのヘルメット着用、手の届くところに口に入る小さなものを置かない、浴槽で溺れない対策などが重要です。乳幼児突然死症候群は、家族の喫煙や子どものうつぶせ寝を避けることがリスクを下げるとされています。
成人
心筋梗塞や脳卒中の症状がおこったら、すぐに119番通報
急性心筋梗塞(成人がある日突然死亡する主な原因の一つ)
心臓の筋肉(心筋)に栄養分や酸素を含んだ血液を送っている血管(冠動脈)が血の塊(血栓)で詰まり、心臓のポンプ機能が低下したり、重症の不整脈が引き起こされ命の危険にさらされることになる。
典型的な症状は、胸の痛みですが、「痛み」というよりもむしろ「重苦しい」「締めつけられる」「圧迫される」「絞られる」「焼けつくような感じ」などと表現されることのほうが多いのです。そのような症状のほかにも、冷や汗、吐き気、嘔吐、息苦しさを伴うことが多く、急性心筋梗塞を疑う大切なきっかけになります。また、高齢者や糖尿病の人は、症状が軽かったり、少し息が苦しいといった程度の症状で分かりにくいことが少なくありません。胸以外にも背中、肩、両腕、胃のあたり(みぞおち)に不快感を感じることもあり、時には、歯やあごのうずくような感じ、喉の苦しさや熱い感じといった症状もあります。
※多くの人は急性心筋梗塞を起こしてから2時間以内に治療を受ければ元どおりの生活を送ることができ、仕事にも復帰できます。
脳卒中(成人が急に死亡する原因の一つであり、しばしば後遺症が残ることがある)
脳の血管が詰まったり、破れたりした結果生じる病気(脳梗塞、脳出血、くも膜下出血)
- 脳梗塞:脳の動脈が動脈硬化や血の塊で詰まって、脳への血流が途絶え神経細胞が死んでしまう病気
手足(片側)に力が入らない、しびれる、言葉をうまくしゃべれない、ものが見えにくい、二重に見える、めまいがするなどの症状がさまざまな組み合わせで急に現れ、重い場合は意識を失うこともあります。 - 脳出血:脳の中で血管が破れて出血が生じ周囲の神経細胞が破壊されてしまう病気
脳梗塞と症状が似ているので、検査を行うまでは区別がつかないことがよくあります。 - くも膜下出血:脳動脈のこぶや血管の奇形が破裂して、出血した血液が脳の表面に広がる病気
特徴は、生まれて初めて経験するような激しい頭痛が突然生じることです。重症の場合、意識を失うことが多く、しばらくして意識が戻ってから頭痛を訴えることもあります。
※脳梗塞は、発症後早期(3時間以内)に血栓を溶かす薬(血栓溶解薬)を注射し血流の再開を試みる治療により
約3分の1の患者で後遺症を軽減できます。3時間以上たってしまうと、回復が難しくなります。
※脳出血は著しい高血圧を伴い、そのために出血(血腫)がさらにひどくなることがあり、緊急に血圧を下げる治療
や脳のむくみを取る治療、時には手術が必要になります。
※くも膜下出血は、脳動脈瘤の再破裂を予防するために血管の中から破裂したこぶを塞ぐ治療、もしくは手術が必
要になります。
前ぶれの症状が急に起こったら、ためらわずに119番通報!
- 脳梗塞の前ぶれ:脳梗塞でみられるさまざまな症状が一時的(2~15分程度)に出現して、自然に消失する
- くも膜下出血の前ぶれ:頭痛、意識消失、めまい、悪心、嘔吐、まぶたが下がる、ものが二重に見える
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